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【LET blog 第232号】 (2024年05月10日)
カテゴリー: LET Blog Archives
投稿者: つらい編集長つらい
【LET blog 第232号】
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みなさん、こんにちは。
寒暖差の激しい日々が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今月号の支部企画は、九州支部からの「少し面白いロンドンでのこぼれ話」です。
それでは、今月号の blog をどうぞご覧ください。
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■ 第232号のもくじ
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■ 支部企画
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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□ 九州・沖縄支部
■ 九州・沖縄支部 2024年度支部研究大会
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
■ 基礎理論研究部会 5月例会
■ 早期英語教育研究部会 2024年度 第1回例会
■ メソドロジー研究部会 2024年度第1回研究会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 研究員・研究者・教員公募
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■ 編集後記
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【LET blog 第232号】(続き)
http://j-let.org/~wordpress/index.php?itemid=1828#more
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【LET blog 第232号】
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■ 支部企画
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□ 九州・沖縄支部:「少し面白いロンドンでのこぼれ話」
(石井 和仁,元福岡大学)
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令和6年3月31日に39年間務めた福岡大学を定年で退職した。そのタイミングで、今回のブログ記事の執筆を依頼されたが、自由なテーマでエッセイを書くとなると、意外と難しいと感じているうちに、かなりの時間が経過してしまった。リラックスして読めるけれども、それほど退屈な内容でもないと思えるテーマを探し、記憶を辿るうちに在外研究員としてUniversity College Londonにscholastic visitorとして籍を置いていた頃のことを思い出した。1998年から1999年にかけてのことである。以下にいくつかのエピソードを紹介してみたい。
1.イギリスを何と呼ぶか
イギリスの正式な国名は The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland であるが、略式名称としては England がしばしば用いられる。したがって、われわれ日本人がイギリス国を指して、英語で England と呼んでもいっこうに差し支えないわけである。しかし、われわれがイギリス国内に居て、しかも長期に滞在している場合などは少々事情が異なってくる。
イギリスという国は、もともと4つの異なった国を一つにまとめた連合王国である。すなわち、England, Scotland, Wales, Northern Ireland の4つの国から成り立っているが、England を中心とする現体制が一枚岩のごとき盤石さを誇っているかというと、必ずしもそうではない。Northern Ireland をめぐるIRAのテロ活動は、現在ではほとんど観られなくなったが、筆者がロンドンに滞在していた頃にはロンドン中心部のソーホー地区でIRAによる爆破事件があった。一方、Walesは発音も文法も英語とは異なるWales語を学校教育で教え、その独自の言語を維持し、公的なセレモニーにおいては、英語とWales語の2言語を併用する言語政策を採っている。さらに、Scotland は昔からEnglandと対立し、自国を守るために戦ってきた歴史を持つ。今でもかなりのScotland人がScotlandは国として独立してもよいと考えているようだ。
このような背景を持つ国に滞在する時、自分が今どこにいて、誰と話しているのかということを無視してイギリス全体をEnglandと表現し続けることはあまりお勧めできない。
理由は先に述べたことから容易に想像できるように、England 出身ではないイギリス人にとってイギリス=England ではないからだ。筆者は一歩イギリスに足を踏み入れたときからイギリス全体を指してEngland と呼ぶのを辞め、代わりにBritainを用い、たまにUK を用いるようにしていた。これはイギリス人に対する筆者なりのささやかな心配りであったと言える。
2.マンションとマンションズ
英語のmansionは大邸宅を指す。したがって日本の事情に暗い英語圏の人に、分譲の集合住宅を指す日本語の「マンション」を英語の正しい表現であると思い、「今度、うちのマンションに遊びに来てください」と立派な英語で表現すれば、大いなる誤解が生じることは誰の目にも明らかである。しかし、イギリスではしばしばこのmansion に複数形のs が付くだけで、日本と同様集合住宅を示すのである。ちなみに、筆者がLondonで住んでいたアパートはQueen Alexandra Mansions (クイーン・アレグザンドラ・マンションズ) という名称であった。日本語のマンションはこのイギリスの集合住宅の名称のmansions という表現をカタカナ語として導入する際、複数形のs を故意にかあるいは無知からか落としてしまったものと推測される。お陰で日本では集合住宅が「大邸宅」に変身してしまったのである。ちなみに、イギリスでは集合住宅のユニットをflat と言い、建物全体をA block of flatsという。
3.忠臣蔵とGuy Fawkes Day (Night)
わが国では長らく12月14日近くになると、TVの地上波に約束事のように登場するのが忠臣蔵であった。近年では地上波での放送は減り、BSデジタルやケーブルTVに移行しているようだが、今だに根強い人気を誇っている。この何とも不思議な国民的行事を不気味に思う外国人もいるようだ。「日本人は復習を忘れない」とか「日本人は命をかけた忠誠心をめんめんと伝えている」とか。「復讐」も「忠誠心」も今の日本人には無関係と思われるのだが、この忠臣蔵現象を外国人にどう説明すればいいのか、ちょっと考え込んでしまったことがあった。このようなことをある日、Londonの筆者のflatの家主であり、友人でもあるLSE (London School of Economics and Political Science) のProfessor Macve に話していると、彼曰く、「そういうことは日本人に限ったことじゃない。われわれだってGuy Fawkes Dayを祝うじゃないか」と。それを聞いたとき、筆者はそんな比較もありうるのかと、目から鱗が落ちる思いであった。
Guy Fawkes Day (ガイ・フォークス・デイ) というのは、イギリスで毎年11月5日に祝う記念日であるが、夜になると街のあちこちで花火が上がり、たき火が焚かれて、その火でGuy Fawkes人形が焼かれるという、ちょっと血生臭い行事なのである。でも子供たちも楽しく参加する国民的行事でもあるのだ。ところで、そもそもGuy Fawkes なる人物とは何者なのかというと、1605年11月5日に国会議事堂の爆破を計画。それによって当時カトリック教徒を“圧迫”したJames I世を暗殺しようとして捕えられ、処刑された8人のテロリストのうちの主要人物なのである。この事件は国の根幹を揺るがすテロ行為が未然に防止された記念すべき出来事として後世に語り継がれることとなった。
忠臣蔵の放送もGuy Fawkes Day (Night) も、血生臭い事件を毎年繰り返し記憶に焼き付ける野蛮な行為と観ることも可能ではあるが、別の観方をすればそれぞれの国民の多くが、人の命を代償として“正義”が貫かれた歴史的事実を真摯に、そして肯定的に受け入れていることの証と観ることも可能ではないのか、今ではそのように考えて先の「忠臣蔵現象を外国人にどう説明すればいいのか」という難問の一応の答としている。
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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■ 九州・沖縄支部 2024年度支部研究大会
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第51回 LET九州・沖縄支部研究大会
期日:2024年6月8日(土)
会場:熊本学園大学(熊本市中央区大江2丁目5-1)
テーマ:「AIと外国語教育の共存」
参加費:LET会員(他支部会員も含む):無料
当日会員(非会員):資料代として1,000円(学生500円)
講演
演題:「AI翻訳は外国語教育の破壊者となるか––認知言語学からの一回答––」
講師:町田 章(広島大学)
シンポジウム
テーマ:「AIと外国語教育の共存」
コーディネーター:麻生 雄治(大分大学)
パネリスト1:山口 司(弘学館中学校・高等学校)
パネリスト2:上村 洸貴(長崎県立長崎北高等学校)
パネリスト3:福永 淳(九州工業大学)
*詳細は、http://www.j-let-ko.org/をご参照ください。
【問い合わせ先】
LET九州・沖縄支部事務局
事務局長 林幸代(e-mail: sachiyoh.let.ko@gmail.com)
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
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■ 基礎理論研究部会 5月例会(第13次 基礎理論研究部会第1回研究例会)(情動的要因と英語教育:Emotion Day №3)
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(For information in English, please click on the link below: https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.jp)
日時:2024年5月26日(日)例会:1:30PM~4:30PM
*時間厳守でお願い致します。
内容:
1. 日本人英語学習者のポジティブな情意的要因を活かした指導の研究事例について
[Translation] Reports on the effects of instruction enhancing Japanese EFL learners’ positive affective factors on their language development
by 大山 廉 Ren Oyama (茨城大学 Ibaraki University)
*関連文献:大山廉(2023)「学習者の情意と英語の指導法」大瀧綾乃、須田孝司、横田秀樹、若林茂則[編]『第二言語習得研究の科学2:言語の指導』(pp. 145-164)くろしお出版
2. 多読教材の情動性とエンゲージメント
[Translation] Emotionality of extensive reading materials and engagement
by 金澤 佑 Yu Kanazawa (大阪大学 Osaka University)
*関連文献:金澤佑(2022)「高等教育活動におけるディープ・ポジティビティ仮説と認識情動」『感情心理学研究』30 (Supplement), OS2-09.
会場:Zoom利用によるオンライン開催の予定です。
下記「参加希望フォーム」にご回答いただいた方に、メールでアクセス方法をお送りいたします。
参加希望フォーム: https://forms.gle/ZtXnbGtrD5QC1hFu9
フォームへのご回答は例会開催の前日の6:00PMまでにお願いできますと幸いです。
ご回答いただきました情報に基づいて、Zoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきます。
また、もし上記の締め切りを過ぎてご回答いただいた場合でも、追ってZoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきますが、すぐに対応ができない場合もございますのでご了承ください。
発表内容詳細などについては次のウェブページをご参照ください。
https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.com/2024/04/may-26-2024-meeting-emotion-day-3.html
*****
5月25日(土)開催のLET関西支部2024年度春季大会では、本研究部会部会長が以下の基調講演を行います。
15:40-17:10 基調講演 (対面+Zoomライブ配信)「21世紀型スキルを伸ばすディープでアクティブな技能統合型授業」 講師:金澤 佑(大阪大学)
https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.com/2024/04/fyi-may-25-2024-let-kansai-conference.html
*****
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■ 早期英語教育研究部会 2024年度 第1回例会
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日時: 2024年6月15日(土)13:00~17:00
場所:
1) 大阪市立大学文化交流センター小セミナー室 (大阪駅前第2ビル6階)
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/about/university/access#umeda
2) ZOOM(ZOOM参加のURLはメールにてお知らせ致します)
※初めての方は、下記の問合せ先までご一報ください。
内容:早期英語教育に関する概論書の輪読および発表
1.文献輪読
Cognitive and Language Development in Children, John Oates and Andrew Grayson (2004)
□ Introduction: Perspectives on cognitive and language development (John Oates and Andrew Grayson)
担当:井狩幸男先生 (大阪公立大学)
□ 1章. Early category representations and concepts(Paul. C. Quinn and John Gates)
前半担当:井狩幸男先生(大阪公立大学)
後半担当:鳥羽素子先生(明石工業高等専門学校)
2. ミニ講義 「役立つ脳教室」
担当:井狩幸男先生 (大阪公立大学)
お問合せ
事務局 竹田里香
eeesigletmail.com
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■ メソドロジー研究部会 2024年度第1回研究会
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2024年5月19日(日)に2024年度第1回研究会を関西大学(梅田キャンパス)にて開催します。ハイブリッドでの開催になりますので,オンライン(Zoom)でもご参加いただけます。詳細は部会ホームページをご確認下さい。
https://mizumot.com/methodology/index.php/meeting
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■ 研究員・研究者・教員公募
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JREC-IN の公募情報を「外国語教育」で検索した結果です。
https://goo.gl/fvDGx6
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■ 編集後記
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ジチョーになると、自動的に複数のイインチョーになるシステムらしいけど、どうすりゃいいぜ...
(詳しくは X をご覧ください)
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□ LET blog(旧メルマガ)のバックナンバーは、LET blog・アーカイブで閲覧できます。
http://j-let.org/~wordpress/index.php?catid=22&blogid=1
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LET blog 委員会
【関東支部】
若有 保彦(秋田大学)
森谷 祥子(フリーランス)
【中部支部】
伊藤 佳貴(大同大学大同高等学校)
吉川 りさ(名古屋工業大学)
【関西支部】
神谷 健一(大阪工業大学)
今尾 康裕(大阪大学)
【九州・沖縄支部】
麻生 雄治(大分大学)
津田 晶子(中村学園大学)
【LET blog 編集責任者】
阪上 辰也 (広島修道大学)
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みなさん、こんにちは。
寒暖差の激しい日々が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今月号の支部企画は、九州支部からの「少し面白いロンドンでのこぼれ話」です。
それでは、今月号の blog をどうぞご覧ください。
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■ 第232号のもくじ
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■ 支部企画
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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□ 九州・沖縄支部
■ 九州・沖縄支部 2024年度支部研究大会
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
■ 基礎理論研究部会 5月例会
■ 早期英語教育研究部会 2024年度 第1回例会
■ メソドロジー研究部会 2024年度第1回研究会
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■ 研究員・研究者・教員公募
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■ 編集後記
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【LET blog 第232号】(続き)
http://j-let.org/~wordpress/index.php?itemid=1828#more
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【LET blog 第232号】
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■ 支部企画
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□ 九州・沖縄支部:「少し面白いロンドンでのこぼれ話」
(石井 和仁,元福岡大学)
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令和6年3月31日に39年間務めた福岡大学を定年で退職した。そのタイミングで、今回のブログ記事の執筆を依頼されたが、自由なテーマでエッセイを書くとなると、意外と難しいと感じているうちに、かなりの時間が経過してしまった。リラックスして読めるけれども、それほど退屈な内容でもないと思えるテーマを探し、記憶を辿るうちに在外研究員としてUniversity College Londonにscholastic visitorとして籍を置いていた頃のことを思い出した。1998年から1999年にかけてのことである。以下にいくつかのエピソードを紹介してみたい。
1.イギリスを何と呼ぶか
イギリスの正式な国名は The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland であるが、略式名称としては England がしばしば用いられる。したがって、われわれ日本人がイギリス国を指して、英語で England と呼んでもいっこうに差し支えないわけである。しかし、われわれがイギリス国内に居て、しかも長期に滞在している場合などは少々事情が異なってくる。
イギリスという国は、もともと4つの異なった国を一つにまとめた連合王国である。すなわち、England, Scotland, Wales, Northern Ireland の4つの国から成り立っているが、England を中心とする現体制が一枚岩のごとき盤石さを誇っているかというと、必ずしもそうではない。Northern Ireland をめぐるIRAのテロ活動は、現在ではほとんど観られなくなったが、筆者がロンドンに滞在していた頃にはロンドン中心部のソーホー地区でIRAによる爆破事件があった。一方、Walesは発音も文法も英語とは異なるWales語を学校教育で教え、その独自の言語を維持し、公的なセレモニーにおいては、英語とWales語の2言語を併用する言語政策を採っている。さらに、Scotland は昔からEnglandと対立し、自国を守るために戦ってきた歴史を持つ。今でもかなりのScotland人がScotlandは国として独立してもよいと考えているようだ。
このような背景を持つ国に滞在する時、自分が今どこにいて、誰と話しているのかということを無視してイギリス全体をEnglandと表現し続けることはあまりお勧めできない。
理由は先に述べたことから容易に想像できるように、England 出身ではないイギリス人にとってイギリス=England ではないからだ。筆者は一歩イギリスに足を踏み入れたときからイギリス全体を指してEngland と呼ぶのを辞め、代わりにBritainを用い、たまにUK を用いるようにしていた。これはイギリス人に対する筆者なりのささやかな心配りであったと言える。
2.マンションとマンションズ
英語のmansionは大邸宅を指す。したがって日本の事情に暗い英語圏の人に、分譲の集合住宅を指す日本語の「マンション」を英語の正しい表現であると思い、「今度、うちのマンションに遊びに来てください」と立派な英語で表現すれば、大いなる誤解が生じることは誰の目にも明らかである。しかし、イギリスではしばしばこのmansion に複数形のs が付くだけで、日本と同様集合住宅を示すのである。ちなみに、筆者がLondonで住んでいたアパートはQueen Alexandra Mansions (クイーン・アレグザンドラ・マンションズ) という名称であった。日本語のマンションはこのイギリスの集合住宅の名称のmansions という表現をカタカナ語として導入する際、複数形のs を故意にかあるいは無知からか落としてしまったものと推測される。お陰で日本では集合住宅が「大邸宅」に変身してしまったのである。ちなみに、イギリスでは集合住宅のユニットをflat と言い、建物全体をA block of flatsという。
3.忠臣蔵とGuy Fawkes Day (Night)
わが国では長らく12月14日近くになると、TVの地上波に約束事のように登場するのが忠臣蔵であった。近年では地上波での放送は減り、BSデジタルやケーブルTVに移行しているようだが、今だに根強い人気を誇っている。この何とも不思議な国民的行事を不気味に思う外国人もいるようだ。「日本人は復習を忘れない」とか「日本人は命をかけた忠誠心をめんめんと伝えている」とか。「復讐」も「忠誠心」も今の日本人には無関係と思われるのだが、この忠臣蔵現象を外国人にどう説明すればいいのか、ちょっと考え込んでしまったことがあった。このようなことをある日、Londonの筆者のflatの家主であり、友人でもあるLSE (London School of Economics and Political Science) のProfessor Macve に話していると、彼曰く、「そういうことは日本人に限ったことじゃない。われわれだってGuy Fawkes Dayを祝うじゃないか」と。それを聞いたとき、筆者はそんな比較もありうるのかと、目から鱗が落ちる思いであった。
Guy Fawkes Day (ガイ・フォークス・デイ) というのは、イギリスで毎年11月5日に祝う記念日であるが、夜になると街のあちこちで花火が上がり、たき火が焚かれて、その火でGuy Fawkes人形が焼かれるという、ちょっと血生臭い行事なのである。でも子供たちも楽しく参加する国民的行事でもあるのだ。ところで、そもそもGuy Fawkes なる人物とは何者なのかというと、1605年11月5日に国会議事堂の爆破を計画。それによって当時カトリック教徒を“圧迫”したJames I世を暗殺しようとして捕えられ、処刑された8人のテロリストのうちの主要人物なのである。この事件は国の根幹を揺るがすテロ行為が未然に防止された記念すべき出来事として後世に語り継がれることとなった。
忠臣蔵の放送もGuy Fawkes Day (Night) も、血生臭い事件を毎年繰り返し記憶に焼き付ける野蛮な行為と観ることも可能ではあるが、別の観方をすればそれぞれの国民の多くが、人の命を代償として“正義”が貫かれた歴史的事実を真摯に、そして肯定的に受け入れていることの証と観ることも可能ではないのか、今ではそのように考えて先の「忠臣蔵現象を外国人にどう説明すればいいのか」という難問の一応の答としている。
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■ 九州・沖縄支部 2024年度支部研究大会
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第51回 LET九州・沖縄支部研究大会
期日:2024年6月8日(土)
会場:熊本学園大学(熊本市中央区大江2丁目5-1)
テーマ:「AIと外国語教育の共存」
参加費:LET会員(他支部会員も含む):無料
当日会員(非会員):資料代として1,000円(学生500円)
講演
演題:「AI翻訳は外国語教育の破壊者となるか––認知言語学からの一回答––」
講師:町田 章(広島大学)
シンポジウム
テーマ:「AIと外国語教育の共存」
コーディネーター:麻生 雄治(大分大学)
パネリスト1:山口 司(弘学館中学校・高等学校)
パネリスト2:上村 洸貴(長崎県立長崎北高等学校)
パネリスト3:福永 淳(九州工業大学)
*詳細は、http://www.j-let-ko.org/をご参照ください。
【問い合わせ先】
LET九州・沖縄支部事務局
事務局長 林幸代(e-mail: sachiyoh.let.ko@gmail.com)
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
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■ 基礎理論研究部会 5月例会(第13次 基礎理論研究部会第1回研究例会)(情動的要因と英語教育:Emotion Day №3)
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(For information in English, please click on the link below: https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.jp)
日時:2024年5月26日(日)例会:1:30PM~4:30PM
*時間厳守でお願い致します。
内容:
1. 日本人英語学習者のポジティブな情意的要因を活かした指導の研究事例について
[Translation] Reports on the effects of instruction enhancing Japanese EFL learners’ positive affective factors on their language development
by 大山 廉 Ren Oyama (茨城大学 Ibaraki University)
*関連文献:大山廉(2023)「学習者の情意と英語の指導法」大瀧綾乃、須田孝司、横田秀樹、若林茂則[編]『第二言語習得研究の科学2:言語の指導』(pp. 145-164)くろしお出版
2. 多読教材の情動性とエンゲージメント
[Translation] Emotionality of extensive reading materials and engagement
by 金澤 佑 Yu Kanazawa (大阪大学 Osaka University)
*関連文献:金澤佑(2022)「高等教育活動におけるディープ・ポジティビティ仮説と認識情動」『感情心理学研究』30 (Supplement), OS2-09.
会場:Zoom利用によるオンライン開催の予定です。
下記「参加希望フォーム」にご回答いただいた方に、メールでアクセス方法をお送りいたします。
参加希望フォーム: https://forms.gle/ZtXnbGtrD5QC1hFu9
フォームへのご回答は例会開催の前日の6:00PMまでにお願いできますと幸いです。
ご回答いただきました情報に基づいて、Zoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきます。
また、もし上記の締め切りを過ぎてご回答いただいた場合でも、追ってZoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきますが、すぐに対応ができない場合もございますのでご了承ください。
発表内容詳細などについては次のウェブページをご参照ください。
https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.com/2024/04/may-26-2024-meeting-emotion-day-3.html
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5月25日(土)開催のLET関西支部2024年度春季大会では、本研究部会部会長が以下の基調講演を行います。
15:40-17:10 基調講演 (対面+Zoomライブ配信)「21世紀型スキルを伸ばすディープでアクティブな技能統合型授業」 講師:金澤 佑(大阪大学)
https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.com/2024/04/fyi-may-25-2024-let-kansai-conference.html
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■ 早期英語教育研究部会 2024年度 第1回例会
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日時: 2024年6月15日(土)13:00~17:00
場所:
1) 大阪市立大学文化交流センター小セミナー室 (大阪駅前第2ビル6階)
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/about/university/access#umeda
2) ZOOM(ZOOM参加のURLはメールにてお知らせ致します)
※初めての方は、下記の問合せ先までご一報ください。
内容:早期英語教育に関する概論書の輪読および発表
1.文献輪読
Cognitive and Language Development in Children, John Oates and Andrew Grayson (2004)
□ Introduction: Perspectives on cognitive and language development (John Oates and Andrew Grayson)
担当:井狩幸男先生 (大阪公立大学)
□ 1章. Early category representations and concepts(Paul. C. Quinn and John Gates)
前半担当:井狩幸男先生(大阪公立大学)
後半担当:鳥羽素子先生(明石工業高等専門学校)
2. ミニ講義 「役立つ脳教室」
担当:井狩幸男先生 (大阪公立大学)
お問合せ
事務局 竹田里香
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■ メソドロジー研究部会 2024年度第1回研究会
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2024年5月19日(日)に2024年度第1回研究会を関西大学(梅田キャンパス)にて開催します。ハイブリッドでの開催になりますので,オンライン(Zoom)でもご参加いただけます。詳細は部会ホームページをご確認下さい。
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■ 研究員・研究者・教員公募
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JREC-IN の公募情報を「外国語教育」で検索した結果です。
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■ 編集後記
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ジチョーになると、自動的に複数のイインチョーになるシステムらしいけど、どうすりゃいいぜ...
(詳しくは X をご覧ください)
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LET blog 委員会
【関東支部】
若有 保彦(秋田大学)
森谷 祥子(フリーランス)
【中部支部】
伊藤 佳貴(大同大学大同高等学校)
吉川 りさ(名古屋工業大学)
【関西支部】
神谷 健一(大阪工業大学)
今尾 康裕(大阪大学)
【九州・沖縄支部】
麻生 雄治(大分大学)
津田 晶子(中村学園大学)
【LET blog 編集責任者】
阪上 辰也 (広島修道大学)