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【LET blog 第208号】 (2022年05月10日)
カテゴリー: LET Blog Archives
投稿者: つらい編集長つらい
【LET blog 第208号】
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みなさん、こんにちは。
大型連休も終わり、暑い日が増えてまいりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今月号の支部企画は、九州・沖縄支部からの「英語の発音教育における「現在地」の確認の意義」です。
それでは、今月号の blog をどうぞご覧ください。
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■ 第208号のもくじ
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■ 支部企画:九州・沖縄支部「英語の発音教育における「現在地」の確認の意義」
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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□ 九州・沖縄支部
□ 関東支部
□ 関西支部
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
■ 基礎理論研究部会 5月例会
■ 早期英語教育研究部会 2022年度 第1回例会
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■ 研究員・研究者・教員公募
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■ 編集後記
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【LET blog 第208号】(続き)
http://j-let.org/~wordpress/index.php?itemid=1804#more
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【LET blog 第208号】
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■ 支部企画
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□ 九州・沖縄支部:「英語の発音教育における「現在地」の確認の意義」
(竹安 大,福岡大学)
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筆者の専門分野は音声学・音韻論で、勤務校では英語学科に所属し、英語音声学等の科目を教えているほか、共通英語の授業も担当しています。ただ、音声学・音韻論とは言っても、「音声の産出・知覚」という実験心理学に近い分野の研究がメインであるため、音声学・音韻論と聞いて皆様が想像されるものとは少し違う分野に当たるかもしれません。また、英語に関する研究もしないわけではありませんが、主な研究対象は日本語です。このように、英語教育の分野には必ずしも近いとは言えない立場の者ではありますが、今回機会をいただきましたので、日本語を母語とする学習者に対する英語の発音教育に関して日々考えていることの一部を書いてみたいと思います。
英語教育における教員の重要な役割の一つは、学習者が迷わずに目的地(英語の習得)までたどり着けるようにサポートしてあげることです。学習者が効率よく発音を習得できるようにするためには、教員は当然ながら目的地周辺の詳細な情報、つまり英語の発音の特徴をしっかりと把握し、必要に応じて学習者に教えてあげる必要があります。ここで見落とされがちなのは、地図で目的地だけが分かっていても、現在地が分からなければどのようにそこに向かっていけばよいのか分からず、目的地にたどり着くことが困難であるという点です。私が昔アラビア語の講座を受講していた時、先生が「さっきの発音よりも今の方がいい」とほめてくれたことがありましたが、「さっきの発音のどこが良くなくて今の発音のどこがいいのかさっぱりわからない」という状態で、結局よくわからないまま終わってしまった経験があります。これと同じように、英語の発音の特徴だけを教えて発音の練習をさせても、学習者にとっては充分な理解や達成感に繋がらない可能性があるわけです。私の経験上も、「この音を発音するとき、日本語だとこんな風に舌が動くけど、英語の場合はそれとは違ってこんな動きになるよ」など、現在地(日本語)と目的地(英語)を対比させるような形で説明する方が、学習者たちにとっては発音のコツがつかみやすくなるように思います。
教員側が日本語の音声に関する知識を持っていると、学習者が特に気を付けるべき点と、それほど気にしなくてもいい点を正確に把握し、重要度の高いポイントに絞って指導することができるようになります。例えば、日本人の発音の特徴として、英語の子音の連続に対してしばしば不必要な母音を挿入して発音してしまうというものがあります(日本語の音節構造上、子音の連続が原則許されないために起こることです)。この点については、基本的には学習者に対して余計な母音を入れないように発音するよう指導していくことになるわけですが、すべての子音の連続が要注意というわけではありません。日本語には「母音の無声化」(母音の/i/や/u/が無声子音に挟まれると無声化(≒脱落)する)という現象があり、発音上は子音の連続が頻繁に生じるので、日本語のつもりで発音しても正しく(余分な母音の挿入を起こさずに)発音できるケースが結構あるのです。strictという単語を例にとると、日本人的な発想ではsutorikutoのようになりますが、最初のsとtの間の母音と、最後のkとtの間の母音が無声化するため、実際の発音においては(仮に典型的なカタカナ発音で読んだとしても)[storikto]となります。つまり、ここではtの後に母音を入れないようにだけ気を付ければ問題はなく、「sやkの後に母音を入れないようにしなさい」と指導してもあまり意味がないのです(むしろ、学習者が変に意識しておかしな発音になってしまうなど、逆効果となる可能性すらあります)。
今回ご紹介したのはあくまで一例ですが、日本語の音声の特徴をより深く把握することにより、日本語を母語とする学習者に対してより効率的に発音指導してあげるアイディアが得られるはずだという考えのもと、私自身は日本語の研究者として英語の教育を行っています。英語教育に携わっておられる皆様も、学習者の母語である日本語に注目してみると、指導方法を考えるうえで何か有益なヒントが得られるかもしれません。
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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■ 九州・沖縄支部 2022年度支部研究大会(第49回研究大会)
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期 日:2022年6月25日(土)
開催形式:オンライン開催
大会本部:大分大学 旦野原キャンパス(〒870-1192 大分市大字旦野原700番地)
講演
「明日の授業に活かす『意味順』英語指導––文法指導の体系化を目指して––」
田地野 彰先生(名古屋外国語大学)
シンポジウム
「英語表現力育成を目指した授業改善」
コーディネーター(兼パネリスト1):麻生 雄治先生(大分大学)
パネリスト2:吉永 早紀子先生(中津市立中津中学校)
パネリスト3:三浦 宏昭先生(大分県立大分上野丘高等学校)
ワークショップ
「ICTを活用した英語授業改善の取り組み」
相原 勝斗志先生(長崎県立佐世保西高等学校)
申込先
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=9S8ynt2-7EKkuMgIgbQquKfq8Vi_MVxGuN4li39aPjBUMjA0WlBMTUZTWEtEUEZTSFlTUlkwQlI5MC4u
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■ 関東支部 第147回(2022年春季)支部大会
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新学期が始まり、皆様におかれましてはお忙しくお過ごしかと存じます。
さて、関東支部では6月18日(土)に以下の通り、第147回(2022年春季)支部大会を開催致します。皆様のご参加を心待ちにしております。
テーマ:「機械翻訳を用いた英語学習とその指導:課題と展望」
日 時:2022年6月18日(土)午後
会 場:オンライン開催(Zoom)
内 容:基調講演、研究発表、実践報告、企業プレゼン ほか
基調講演:「機械翻訳が問い直す言語教育・言語・知性 -複言語主義・言語ゲーム・サイボーグ-」
(柳瀬陽介/京都大学 国際高等教育院 附属国際学術言語教育センター教授)
参加費:無料(ただし会員に限る)
お問い合わせ:LET関東支部事務局(let.kanto.office<ATMARK>gmail.com)
※申込方法やプログラム等の詳細につきましては、関東支部ウェブサイト(www.kanto.j-let.org/)に掲載いたします。
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□ 関西支部 春季研究大会
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LET関西支部では、2022年6月26日(日)、オンライン(Zoom)で、春季研究大会を開催します。ワークショップ、研究発表・実践報告・ClassroomTips、基調講演等を予定しております。
つきましては、以下の要領にて研究発表・実践報告・Classroom Tipsを募集いたします。どうぞふるってご応募ください。(締め切りを延長しました。)
募集開始:2022年3月21日(月)
募集締切:2022年5月11日(水)正午まで
なお、詳細は
http://www.let-kansai.org/htdocs/?action=common_download_main&upload_id=1293
をご覧ください。
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
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■ 基礎理論研究部会 5月例会(第12次 基礎理論研究部会第1回研究例会)
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(For information in English, please click on the link below: https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.jp)
日 時:2022年5月22日(日)例会:1:30PM-4:30PM
*時間厳守でお願い致します。
内 容:
1.研究発表1
「音読・黙読によるフォーミュラの非明示的学習の実証研究」
担当:西村浩子(周南公立大学)
2.研究発表2
「「なんで英語やるの」問題の哲学的分析」
担当:千葉将希・黒川智史(東京大学大学院)
会 場:Zoom利用によるオンライン開催の予定です。
下記「参加希望フォーム」にご回答いただいた方に、メールでアクセス方法をお送りいたします。
参加希望フォーム:https://forms.gle/mYsJGcCcuiaBk9cw7
フォームへのご回答は例会開催の前日の5:00PMまでにお願いできますと幸いです。
ご回答いただきました情報に基づいて、Zoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきます。
また、もし上記の締め切りを過ぎてご回答いただいた場合でも、追ってZoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきますが、すぐに対応ができない場合もございますのでご了承ください。
発表内容詳細などについては次のウェブサイトをご参照ください。
https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.com/2022/03/may-22-2022-meeting.html
添付資料は
https://www.dropbox.com/s/ybiwzatrfribbn6/%E4%BE%8B%E4%BC%9A%E6%A1%88%E5%86%8520220522.docx?dl=1
からご参照いただけます。
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■ 早期英語教育研究部会 2022年度 第1回例会
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日 時: 2022年5月28日(土)13:00~17:30
会 場:
1. 大阪公立大学文化交流センター
2. オンライン (ZOOM)
<Zoomミーティングに参加する>
https://us06web.zoom.us/j/88507823202?pwd=SVljekdvN0k2cVkvdjVsK0t2NWVyZz09
ミーティングID: 885 0782 3202
パスコード: 289684
内 容:早期英語教育に関する概論書の輪読および発表
1.文献輪読
Ethical and Methodological Issues in Researching Young Language Learners in School Contexts (Early Language Learning in School Contexts)
Annamaria Pinter, Kuchah Kuchah (eds) (2021): Multilingual Matters Ltd
□ 5. Social Justice and Questions of Marginalization in Research with Linguistically Diverse Children
担当:眞﨑克彦先生(神戸親和女子大学)
□ 7. Artefactual Narratives of Multilingual Identity: Methodological and Ethical Considerations in Researching Children
担当:石田雅子先生(大阪公立大学大学院)
2. ミニ講義 「役立つ脳教室」
担当:井狩幸男先生 (大阪市立大学)
(お願い)
会場の参加者数の把握のため、ご出席の場合は、下記のGoogle Form にて参加登録をお願い致します。
<例会参加登録用Google Form>
https://forms.gle/6uSyNhnmEC7sL57k9
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■ 研究員・研究者・教員公募
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JREC-IN の公募情報を「外国語教育」で検索した結果です。
https://goo.gl/fvDGx6
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■ 編集後記
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センター長に就任してから1ヶ月ほど経過して早く辞任したいしとにかくさっぽりたい
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□ LET blog(旧メルマガ)のバックナンバーは、LET blog・アーカイブで閲覧できます。
http://j-let.org/~wordpress/index.php?catid=22&blogid=1
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☆更新案内のお知らせ停止・アドレス変更は、以下 URL にてお願いいたします。
http://www.j-let.org/→「LET メールマガジン」
→「ご案内」
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LET blog 委員会
【関東支部】
若有 保彦(秋田大学)
森谷 祥子(東京大学大学院生)
【中部支部】
伊藤 佳貴(大同大学大同高等学校)
吉川 りさ(名古屋工業大学)
【関西支部】
神谷 健一(大阪工業大学)
【九州・沖縄支部】
麻生 雄治(大分大学)
竹安 大 (福岡大学)
【LET blog 編集責任者】
阪上 辰也 (広島大学)
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みなさん、こんにちは。
大型連休も終わり、暑い日が増えてまいりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今月号の支部企画は、九州・沖縄支部からの「英語の発音教育における「現在地」の確認の意義」です。
それでは、今月号の blog をどうぞご覧ください。
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■ 第208号のもくじ
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■ 支部企画:九州・沖縄支部「英語の発音教育における「現在地」の確認の意義」
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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□ 九州・沖縄支部
□ 関東支部
□ 関西支部
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
■ 基礎理論研究部会 5月例会
■ 早期英語教育研究部会 2022年度 第1回例会
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■ 研究員・研究者・教員公募
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■ 編集後記
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【LET blog 第208号】(続き)
http://j-let.org/~wordpress/index.php?itemid=1804#more
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【LET blog 第208号】
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■ 支部企画
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□ 九州・沖縄支部:「英語の発音教育における「現在地」の確認の意義」
(竹安 大,福岡大学)
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筆者の専門分野は音声学・音韻論で、勤務校では英語学科に所属し、英語音声学等の科目を教えているほか、共通英語の授業も担当しています。ただ、音声学・音韻論とは言っても、「音声の産出・知覚」という実験心理学に近い分野の研究がメインであるため、音声学・音韻論と聞いて皆様が想像されるものとは少し違う分野に当たるかもしれません。また、英語に関する研究もしないわけではありませんが、主な研究対象は日本語です。このように、英語教育の分野には必ずしも近いとは言えない立場の者ではありますが、今回機会をいただきましたので、日本語を母語とする学習者に対する英語の発音教育に関して日々考えていることの一部を書いてみたいと思います。
英語教育における教員の重要な役割の一つは、学習者が迷わずに目的地(英語の習得)までたどり着けるようにサポートしてあげることです。学習者が効率よく発音を習得できるようにするためには、教員は当然ながら目的地周辺の詳細な情報、つまり英語の発音の特徴をしっかりと把握し、必要に応じて学習者に教えてあげる必要があります。ここで見落とされがちなのは、地図で目的地だけが分かっていても、現在地が分からなければどのようにそこに向かっていけばよいのか分からず、目的地にたどり着くことが困難であるという点です。私が昔アラビア語の講座を受講していた時、先生が「さっきの発音よりも今の方がいい」とほめてくれたことがありましたが、「さっきの発音のどこが良くなくて今の発音のどこがいいのかさっぱりわからない」という状態で、結局よくわからないまま終わってしまった経験があります。これと同じように、英語の発音の特徴だけを教えて発音の練習をさせても、学習者にとっては充分な理解や達成感に繋がらない可能性があるわけです。私の経験上も、「この音を発音するとき、日本語だとこんな風に舌が動くけど、英語の場合はそれとは違ってこんな動きになるよ」など、現在地(日本語)と目的地(英語)を対比させるような形で説明する方が、学習者たちにとっては発音のコツがつかみやすくなるように思います。
教員側が日本語の音声に関する知識を持っていると、学習者が特に気を付けるべき点と、それほど気にしなくてもいい点を正確に把握し、重要度の高いポイントに絞って指導することができるようになります。例えば、日本人の発音の特徴として、英語の子音の連続に対してしばしば不必要な母音を挿入して発音してしまうというものがあります(日本語の音節構造上、子音の連続が原則許されないために起こることです)。この点については、基本的には学習者に対して余計な母音を入れないように発音するよう指導していくことになるわけですが、すべての子音の連続が要注意というわけではありません。日本語には「母音の無声化」(母音の/i/や/u/が無声子音に挟まれると無声化(≒脱落)する)という現象があり、発音上は子音の連続が頻繁に生じるので、日本語のつもりで発音しても正しく(余分な母音の挿入を起こさずに)発音できるケースが結構あるのです。strictという単語を例にとると、日本人的な発想ではsutorikutoのようになりますが、最初のsとtの間の母音と、最後のkとtの間の母音が無声化するため、実際の発音においては(仮に典型的なカタカナ発音で読んだとしても)[storikto]となります。つまり、ここではtの後に母音を入れないようにだけ気を付ければ問題はなく、「sやkの後に母音を入れないようにしなさい」と指導してもあまり意味がないのです(むしろ、学習者が変に意識しておかしな発音になってしまうなど、逆効果となる可能性すらあります)。
今回ご紹介したのはあくまで一例ですが、日本語の音声の特徴をより深く把握することにより、日本語を母語とする学習者に対してより効率的に発音指導してあげるアイディアが得られるはずだという考えのもと、私自身は日本語の研究者として英語の教育を行っています。英語教育に携わっておられる皆様も、学習者の母語である日本語に注目してみると、指導方法を考えるうえで何か有益なヒントが得られるかもしれません。
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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■ 九州・沖縄支部 2022年度支部研究大会(第49回研究大会)
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期 日:2022年6月25日(土)
開催形式:オンライン開催
大会本部:大分大学 旦野原キャンパス(〒870-1192 大分市大字旦野原700番地)
講演
「明日の授業に活かす『意味順』英語指導––文法指導の体系化を目指して––」
田地野 彰先生(名古屋外国語大学)
シンポジウム
「英語表現力育成を目指した授業改善」
コーディネーター(兼パネリスト1):麻生 雄治先生(大分大学)
パネリスト2:吉永 早紀子先生(中津市立中津中学校)
パネリスト3:三浦 宏昭先生(大分県立大分上野丘高等学校)
ワークショップ
「ICTを活用した英語授業改善の取り組み」
相原 勝斗志先生(長崎県立佐世保西高等学校)
申込先
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=9S8ynt2-7EKkuMgIgbQquKfq8Vi_MVxGuN4li39aPjBUMjA0WlBMTUZTWEtEUEZTSFlTUlkwQlI5MC4u
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■ 関東支部 第147回(2022年春季)支部大会
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新学期が始まり、皆様におかれましてはお忙しくお過ごしかと存じます。
さて、関東支部では6月18日(土)に以下の通り、第147回(2022年春季)支部大会を開催致します。皆様のご参加を心待ちにしております。
テーマ:「機械翻訳を用いた英語学習とその指導:課題と展望」
日 時:2022年6月18日(土)午後
会 場:オンライン開催(Zoom)
内 容:基調講演、研究発表、実践報告、企業プレゼン ほか
基調講演:「機械翻訳が問い直す言語教育・言語・知性 -複言語主義・言語ゲーム・サイボーグ-」
(柳瀬陽介/京都大学 国際高等教育院 附属国際学術言語教育センター教授)
参加費:無料(ただし会員に限る)
お問い合わせ:LET関東支部事務局(let.kanto.office<ATMARK>gmail.com)
※申込方法やプログラム等の詳細につきましては、関東支部ウェブサイト(www.kanto.j-let.org/)に掲載いたします。
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□ 関西支部 春季研究大会
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LET関西支部では、2022年6月26日(日)、オンライン(Zoom)で、春季研究大会を開催します。ワークショップ、研究発表・実践報告・ClassroomTips、基調講演等を予定しております。
つきましては、以下の要領にて研究発表・実践報告・Classroom Tipsを募集いたします。どうぞふるってご応募ください。(締め切りを延長しました。)
募集開始:2022年3月21日(月)
募集締切:2022年5月11日(水)正午まで
なお、詳細は
http://www.let-kansai.org/htdocs/?action=common_download_main&upload_id=1293
をご覧ください。
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
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■ 基礎理論研究部会 5月例会(第12次 基礎理論研究部会第1回研究例会)
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(For information in English, please click on the link below: https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.jp)
日 時:2022年5月22日(日)例会:1:30PM-4:30PM
*時間厳守でお願い致します。
内 容:
1.研究発表1
「音読・黙読によるフォーミュラの非明示的学習の実証研究」
担当:西村浩子(周南公立大学)
2.研究発表2
「「なんで英語やるの」問題の哲学的分析」
担当:千葉将希・黒川智史(東京大学大学院)
会 場:Zoom利用によるオンライン開催の予定です。
下記「参加希望フォーム」にご回答いただいた方に、メールでアクセス方法をお送りいたします。
参加希望フォーム:https://forms.gle/mYsJGcCcuiaBk9cw7
フォームへのご回答は例会開催の前日の5:00PMまでにお願いできますと幸いです。
ご回答いただきました情報に基づいて、Zoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきます。
また、もし上記の締め切りを過ぎてご回答いただいた場合でも、追ってZoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきますが、すぐに対応ができない場合もございますのでご了承ください。
発表内容詳細などについては次のウェブサイトをご参照ください。
https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.com/2022/03/may-22-2022-meeting.html
添付資料は
https://www.dropbox.com/s/ybiwzatrfribbn6/%E4%BE%8B%E4%BC%9A%E6%A1%88%E5%86%8520220522.docx?dl=1
からご参照いただけます。
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■ 早期英語教育研究部会 2022年度 第1回例会
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日 時: 2022年5月28日(土)13:00~17:30
会 場:
1. 大阪公立大学文化交流センター
2. オンライン (ZOOM)
<Zoomミーティングに参加する>
https://us06web.zoom.us/j/88507823202?pwd=SVljekdvN0k2cVkvdjVsK0t2NWVyZz09
ミーティングID: 885 0782 3202
パスコード: 289684
内 容:早期英語教育に関する概論書の輪読および発表
1.文献輪読
Ethical and Methodological Issues in Researching Young Language Learners in School Contexts (Early Language Learning in School Contexts)
Annamaria Pinter, Kuchah Kuchah (eds) (2021): Multilingual Matters Ltd
□ 5. Social Justice and Questions of Marginalization in Research with Linguistically Diverse Children
担当:眞﨑克彦先生(神戸親和女子大学)
□ 7. Artefactual Narratives of Multilingual Identity: Methodological and Ethical Considerations in Researching Children
担当:石田雅子先生(大阪公立大学大学院)
2. ミニ講義 「役立つ脳教室」
担当:井狩幸男先生 (大阪市立大学)
(お願い)
会場の参加者数の把握のため、ご出席の場合は、下記のGoogle Form にて参加登録をお願い致します。
<例会参加登録用Google Form>
https://forms.gle/6uSyNhnmEC7sL57k9
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■ 研究員・研究者・教員公募
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JREC-IN の公募情報を「外国語教育」で検索した結果です。
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■ 編集後記
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センター長に就任してから1ヶ月ほど経過して早く辞任したいしとにかくさっぽりたい
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LET blog 委員会
【関東支部】
若有 保彦(秋田大学)
森谷 祥子(東京大学大学院生)
【中部支部】
伊藤 佳貴(大同大学大同高等学校)
吉川 りさ(名古屋工業大学)
【関西支部】
神谷 健一(大阪工業大学)
【九州・沖縄支部】
麻生 雄治(大分大学)
竹安 大 (福岡大学)
【LET blog 編集責任者】
阪上 辰也 (広島大学)