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No. 17 支部企画:関西支部 (2009年03月10日)

カテゴリー: General
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★支部企画コーナー No. 17 関西支部
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☆支部研究部会紹介: 「基礎理論研究部会」
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LET関西支部基礎理論研究部会では、発足以来、テクニーク、メソッド、アプローチという外国語教育に関わる3分野のうち、最も基礎的なアプローチの部分を、心理言語学や認知科学などの関連諸領域を踏まえ、学問的・実証的にとらえていくことを目標としてきました。1994年12月に本格的活動を再開して以来、1年間に10~11回の割合で、文献の輪読および研究発表を中心とした例会を開催してきました。今回は第5次の活動にしぼって、以下紹介します。

2004年度にスタートした第5次基礎理論研究部会が2009年3月で第2期を終えようとしています。近年の基礎理論部会におけるプロジェクトでは、心理言語学的な基礎研究の立場から、日本人英語学習者の英単語親密度に関する調査報告、データベース作成、そして、それを利用した応用研究を行ってきました。その成果が、横川博一編(2006)『日本人英語学習者の英単語親密度文字編ー教育・研究のための第二言語データベース』(くろしお出版)および横川博一編(2009)『日本人英語学習者の英単語親密度音声編ー教育・研究のための第二言語データベース』(くろしお出版)として刊行されました。

さて、2007~2008年度は、言語産出(language production)をテーマとして、関連する文献・論文の輪読と言語理解・産出に関する研究発表を行ってきました。プロジェクトでは、2007年度末から「ターゲットに絵を用いた統語的プライミング実験」という切り口で言語産出研究を進めてきました。

現在の進行中のプロジェクトの主な内容は、


1)日本人英語学習者が、ある絵(例えば「受動態」「能動態」のどちらでも描写可能)を英語で描写する場合、どちらの統語構造を好んで産出する傾向があるかの調査。これは、後の統語的プライミング実験を失敗なく実施するために、そのベースラインにあたるデータを採取するためです。

2)統語的プライミング実験。日本人英語学習者のライティングにおいてプライミング効果が現れるかどうかを調査します。

現在は、プロジェクトの活動として、1)にある大規模な調査を実施し、データを分析しているところです。2009年度は言語産出にかかわる調査・実験を行い、学会発表を経て、最終的には論文作成などを行い研究の総括をしたいと考えています。

このように、現在のプロジェクトでは、言語産出における統語処理に焦点をあて、統語的プライミングが文産出にどう影響を及ぼすかを調査し、そのメカニズムを探ろうとしています。将来的には、より広い視野で、言語産出に関する研究へとつなげていきたいと考えています。

最後になりましたが、来年度の基礎理論研究部会のテーマは3月の例会で決定する予定ですので、近々お知らせ致します。「基礎理論研究部会」という名称から、固いイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、部会はいたってアットホームで、また、言語教育への応用も視野に入れて活動をしています。4月より新しいテーマでスタートする基礎理論研究部会に、新しい風を吹かせてくださるみなさまのご参加を心よりお待ちしております。

報告: 籔内 智 (京都精華大学)

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