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No.5 支部企画:中部支部 (2005年06月10日)
中部支部では5月21日(土)に支部研究大会を開催しました。今回はシンポジウム
のコーディネータを副支部長の尾関修治先生(中部大学)にお願いし、LL/CALLの
中のインタラクションということを扱ってもらいました。知らない人に限って、
CALLが「人間的でない」とか言いたがりますが、「そんなものではないでしょう」
ということで企画したものです。以下、尾関先生から寄せられたシンポジウム報
告です。
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シンポジウム「「LL/CALLでのインタラクションとコラボレーションとは」報告
尾関修治(中部大学)
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2005年度春季中部支部研究大会では、「LL/CALLでのインタラクションとコラボ
レーションとは」と題し、LL/CALLの活用事例を中心としたパネルディスカッショ
ンを行った。これまでのLLを利用した語学教育、さらにCALLへの切り替えやイン
ターネット利用の経験をふまえ、これらの教育システムが授業や自主学習の中で
の教師と学習者の間のインタラクション、また学習者間のコラボレーションをど
のように支援してきたかを検討し、新しいLL/CALLのあり方やツール・手法や教
育目標まで含めた、語学教育での協調性全般の見直しをすることをテーマとした。
シンポジウムのコーディネータは尾関修治(中部大学)。各パネリストと発表タ
イトルは以下の通り:
原田邦彦(名古屋外国語大学):「従来のLLからCALLへの移行再考」
小栗成子(中部大学):「ネットを利用した対話的な英作文指導で目指すもの」
鈴木 薫(名古屋学芸大学短期大学部):「CALLを利用した聴覚障害者とボラン
ティアチューターによる協調学習」
「従来のLLからCALLへの移行再考」では、原田氏はLLでの協調的学習活動とCALL
での協調的学習活動の事例を報告し、CALLの何が有益かを論じた。特に、紙と鉛
筆による協調的ライティングとそれをオンライン化したライティング等の事例を
通し、「匿名性」の有益性、つまり相手がわからないが故に協調的活動が活発な
ることを指摘した。
小栗氏は、長年にわたるオンライン英文添削の経験を通じて、CALLにより学習活
動の何を支援するのかを論じた。学習プロセスの共有、カラー化した凡例を活用
した個別添削などの実践を通じ、人間がピンポイントで学習者に必要な指導をす
るためにこそコンピュータの支援が必要であることを協調した。
鈴木氏の実践は、聴覚障害者のための英語集中セミナーの実際を紹介した。文字
等の代替手段に頼るのでなく、聴覚障害者がボディソニック等の設備により「音」
を直接体感しながら、ボランティアチューターの補助のもとCALL教材を活用し音
声英語を学ぶという試みである。個別学習と協調学習をCALL設備の中で組み合わ
せることにより、多様な習熟度の学生に対応した英語教育が可能であることを報
告した。
質疑では、CALLを活用して行くには教師にはゆとりがないし教師教育が必要では
ないかとの質問に対し、インフラは共有できるが発想は分け与えることはできな
い、各自の想像力が大切だという指摘が発表者からあった。学習者同士の協同作
業がただの依存関係になってしまった例も挙げられ、連れ立って学習を刺激し合
う、競争し合うコミュニティも必要であるし、教師が評価する余地もそこにある
等の議論がなされた。
のコーディネータを副支部長の尾関修治先生(中部大学)にお願いし、LL/CALLの
中のインタラクションということを扱ってもらいました。知らない人に限って、
CALLが「人間的でない」とか言いたがりますが、「そんなものではないでしょう」
ということで企画したものです。以下、尾関先生から寄せられたシンポジウム報
告です。
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シンポジウム「「LL/CALLでのインタラクションとコラボレーションとは」報告
尾関修治(中部大学)
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2005年度春季中部支部研究大会では、「LL/CALLでのインタラクションとコラボ
レーションとは」と題し、LL/CALLの活用事例を中心としたパネルディスカッショ
ンを行った。これまでのLLを利用した語学教育、さらにCALLへの切り替えやイン
ターネット利用の経験をふまえ、これらの教育システムが授業や自主学習の中で
の教師と学習者の間のインタラクション、また学習者間のコラボレーションをど
のように支援してきたかを検討し、新しいLL/CALLのあり方やツール・手法や教
育目標まで含めた、語学教育での協調性全般の見直しをすることをテーマとした。
シンポジウムのコーディネータは尾関修治(中部大学)。各パネリストと発表タ
イトルは以下の通り:
原田邦彦(名古屋外国語大学):「従来のLLからCALLへの移行再考」
小栗成子(中部大学):「ネットを利用した対話的な英作文指導で目指すもの」
鈴木 薫(名古屋学芸大学短期大学部):「CALLを利用した聴覚障害者とボラン
ティアチューターによる協調学習」
「従来のLLからCALLへの移行再考」では、原田氏はLLでの協調的学習活動とCALL
での協調的学習活動の事例を報告し、CALLの何が有益かを論じた。特に、紙と鉛
筆による協調的ライティングとそれをオンライン化したライティング等の事例を
通し、「匿名性」の有益性、つまり相手がわからないが故に協調的活動が活発な
ることを指摘した。
小栗氏は、長年にわたるオンライン英文添削の経験を通じて、CALLにより学習活
動の何を支援するのかを論じた。学習プロセスの共有、カラー化した凡例を活用
した個別添削などの実践を通じ、人間がピンポイントで学習者に必要な指導をす
るためにこそコンピュータの支援が必要であることを協調した。
鈴木氏の実践は、聴覚障害者のための英語集中セミナーの実際を紹介した。文字
等の代替手段に頼るのでなく、聴覚障害者がボディソニック等の設備により「音」
を直接体感しながら、ボランティアチューターの補助のもとCALL教材を活用し音
声英語を学ぶという試みである。個別学習と協調学習をCALL設備の中で組み合わ
せることにより、多様な習熟度の学生に対応した英語教育が可能であることを報
告した。
質疑では、CALLを活用して行くには教師にはゆとりがないし教師教育が必要では
ないかとの質問に対し、インフラは共有できるが発想は分け与えることはできな
い、各自の想像力が大切だという指摘が発表者からあった。学習者同士の協同作
業がただの依存関係になってしまった例も挙げられ、連れ立って学習を刺激し合
う、競争し合うコミュニティも必要であるし、教師が評価する余地もそこにある
等の議論がなされた。