No. 15 竹蓋 順子(関西支部) (2006年03月10日)
大阪大学サイバーメディアセンターの竹蓋順子(タケフタ・ジュンコ)です。いま、私が学習機器として注目しているのはiPodなどに代表されるMP3プレーヤーです。昨年11月の段階で、大学1年生のクラスの30%程度が所有していました。所有率だけを見れば、携帯電話がほぼ100%で理想的なのですが、「学習機器としては使いたくない」という意見が大多数を占めます。一方MP3プレーヤーは、持っていない学生も合わせてクラスの75%以上が「パソコンで学習している今の教材(Vocabulary Courseware-5:VC-5)をMP3プレーヤーでも学習できるようにしてほしい」と希望しています。
学生たちは、隙間時間を活用して学習できる教材を強く望んでいるのですが、パソコンを使用するe-Learningは、「いつでも、どこでも」が実現されているとは言えず、また、携帯電話は遊びのための道具だからe-Learning機器としては使いたくないと考えているようです。
以前、先述のパソコンで学習できる教材(VC-5)や、VC-5と同じメソッドで並行開発したカセットテープレコーダーと印刷テキストで学習できる語彙教材(VC-4)を使って140語ずつの語彙を大学生22名に学習させるという指導実践を行ったことがあります。その結果、14週間後の定着率はそれぞれ82%と83%と統計的な有意差はありませんでした。さらに、どちらの教材が良かったかを被験者に尋ねたところ、11名がVC-4、残りの11名がVC-5を選んだのです。
また、VC-5を発展させた教材については、大阪大学だけでなく、文京学院大学、千葉大学、日本大学などでも使用されており、これらの教材については一定の評価を得ているものと考えております。
そこで、現在私が取り組んでいるのが、VC-4、 VC-5をベースにしてMP3プレーヤーを学習媒体とした語彙教材の開発です。同教材開発により得られる利点は、VC-4、VC-5の展開で実証された語彙学習において優位性のあるコンテンツを、学習者にとってより利用しやすい端末に搭載するという利便性の向上だけではありません。iPod等にも見られるように容量の大幅増加(60G)、映像コンテンツへの対応等、利用端末の高機能化に併せた複合的な発展への布石を打つことができるということです。
そして忘れてならないことが、従来のものに比べ開発コストを大幅に抑制することが期待できるという点も挙げられます。教材開発コストの低廉化の実現は、コンテンツ部分へ投資配分を高めることを可能にし、ひいてはより充実した教材を提供できること意味することにほかなりません。
この研究については、LET全国大会などで発表していきたいと考えています。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/junko315/
次回は、九州大学言語文化研究院助教授、鈴木敦典(すずき あつのり)先生に登場していただき、18年度に九州大学で予定されているCALL教室増設や、導入されるCALL授業の概要などについて紹介していただきます。
学生たちは、隙間時間を活用して学習できる教材を強く望んでいるのですが、パソコンを使用するe-Learningは、「いつでも、どこでも」が実現されているとは言えず、また、携帯電話は遊びのための道具だからe-Learning機器としては使いたくないと考えているようです。
以前、先述のパソコンで学習できる教材(VC-5)や、VC-5と同じメソッドで並行開発したカセットテープレコーダーと印刷テキストで学習できる語彙教材(VC-4)を使って140語ずつの語彙を大学生22名に学習させるという指導実践を行ったことがあります。その結果、14週間後の定着率はそれぞれ82%と83%と統計的な有意差はありませんでした。さらに、どちらの教材が良かったかを被験者に尋ねたところ、11名がVC-4、残りの11名がVC-5を選んだのです。
また、VC-5を発展させた教材については、大阪大学だけでなく、文京学院大学、千葉大学、日本大学などでも使用されており、これらの教材については一定の評価を得ているものと考えております。
そこで、現在私が取り組んでいるのが、VC-4、 VC-5をベースにしてMP3プレーヤーを学習媒体とした語彙教材の開発です。同教材開発により得られる利点は、VC-4、VC-5の展開で実証された語彙学習において優位性のあるコンテンツを、学習者にとってより利用しやすい端末に搭載するという利便性の向上だけではありません。iPod等にも見られるように容量の大幅増加(60G)、映像コンテンツへの対応等、利用端末の高機能化に併せた複合的な発展への布石を打つことができるということです。
そして忘れてならないことが、従来のものに比べ開発コストを大幅に抑制することが期待できるという点も挙げられます。教材開発コストの低廉化の実現は、コンテンツ部分へ投資配分を高めることを可能にし、ひいてはより充実した教材を提供できること意味することにほかなりません。
この研究については、LET全国大会などで発表していきたいと考えています。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/junko315/
次回は、九州大学言語文化研究院助教授、鈴木敦典(すずき あつのり)先生に登場していただき、18年度に九州大学で予定されているCALL教室増設や、導入されるCALL授業の概要などについて紹介していただきます。