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【LET blog 第233号】 (2024年06月10日)

カテゴリー: LET Blog Archives
【LET blog 第233号】
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みなさん、こんにちは。

梅雨が近づき、暑い日も増えておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

今月号の支部企画は、関東支部からの「ポストリーディング活動としての「要約文」作成の工夫」です。

それでは、今月号の blog をどうぞご覧ください。

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■ 第233号のもくじ
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■ 支部企画
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■ 支部研究大会・支部総会情報
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□ 関東支部
 ■ LET関東支部第150回(2024年春季)研究大会
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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
 ■ 早期英語教育研究部会 2024年度 第1回例会
 ■ 第13次 基礎理論研究部会第2回研究例会
 ■ 電子語学教材開発研究部会 第42回研究会
 ■ メソドロジー研究部会 2024年度 第2回研究会
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■ 研究員・研究者・教員公募
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■ 編集後記
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【LET blog 第233号】(続き)
http://j-let.org/~wordpress/index.php?itemid=1829#more


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【LET blog 第233号】
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■ 支部企画
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□ 関東支部:「ポストリーディング活動としての「要約文」作成の工夫」
  (藤永 史尚、近畿大学)
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ポストリーディング活動の私のレパートリーの1つとして、原文を圧縮した文章(以後、便宜的に要約文と呼ぶことにします)を作成する活動があります。特段珍しいものでもないのですが、学生には次の3つの「制約」のもと、要約文を作成してもらうという活動です。

1) 指定された語数に収める。
2) 各文をパラフレーズ等を駆使して短く書き換える(省略するべき部分は必要に応じて省略)。
3) 元の文章との同一表現が(なるべく)残らないようにする。

これらの「制約」をどのように設定し、どの程度まで厳密に運用するかは、対象となる学習者の習熟度等に合わせて適宜決めることになります。別の言い方をすれば、これによって活動の「難度」を調整できるとも言えます。「制約」が厳しく(例えば、制約1に関するものであれば、指定語数が少なめである、それからの逸脱が許されないなど)なればなるほど、
情報の重要度の判断力、文法・語彙力、文(章)構成の知識や技能についてより高いレベルが要求されると想定されるからです。

具体例で見てみましょう。以下のような英文(野村他, 2022, p. 106)があったとします。

Our lives largely depend on plastics. They are used for many everyday goods: shopping bags, office supplies, and even clothes. From 1950 to 2015, about 8.3 billion tons of plastics were created. About half of that amount was produced in the last 13 years of that period, and people are producing more and more plastics every year.

これについて、先の3つの「制約」を確認した上で、「英語40語(程度)で要約してください」といった指示を出します。なお、先述のように、これはポスト・リーディング活動なので、原文の内容理解は十分にできている前提でスタートします。

指導・助言する主な観点は、各文で使われている表現に対応するより短い言い換え表現を探すこと以外には、(少なくとも今回のケースでは)例えば、次のようなものかと思います。

・修飾語句の省略の検討(e.g., 第1文のlargelyなど)
・例示の整理・省略の検討(e.g., 第2文のshopping bags, office supplies, and even clothesの扱い)
・(語句の置き換え以上の)内容的な言い換えの検討(e.g., in the last 13 years of that periodをfrom 2002 to 2015のようにするなど)

こうして学生はいろいろ工夫しながら各々の要約文を作るわけですが、皆さんがもし学生だったら、どのような文章に仕上げるでしょうか(回答例は最後に置きますので、考えてみてください)。

出来上がった要約文については、クラス全体で共有してそれについてディスカッションしたり(この過程で生成系AIツール等の利用を取り入れることもできるのではと思います)、添削のような形で個別に教師のフィードバックを与えたりするのが良いでしょう。また、作成の段階からペアワークやグループワークを通じた協働作業を中心にして行うのも一案です。

今回紹介した活動は、「長い英文でなくても行うことができる」のと「目指すところがあまり複雑ではない(短くする・言い換える)」ところが、個人的には便利だと感じています。あまり気負わずに投げ込み的にも使える活動かなと思いますので、授業実践を考えるにあたって何かの参考になれば幸いです。

引用文献
野村和宏ほか. (2022). 『Creative English Communication I』 第一学習社.

注記
本稿は、筆者が外国語教育メディア学会(LET)第61回(2022 年度)全国研究大会にて行ったワークショップ「教材テクストの『精読』で組み立てる英語授業」の一部に基づくものです。

回答例(パーフェクトなもの、とは決して言えませんが…)
Our lives depend on plastics. They are used for everyday goods like shopping bags. From 1950 to 2015, about 8.3 billion tons of plastics were manufactured. Half of this was produced from 2002 to 2015, and production is increasing yearly. (40 words)

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■ 支部研究大会・支部総会情報
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□ 関東支部
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■ LET関東支部第150回(2024年春季)研究大会
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期 日:2024年6月29日(土)
会 場:明治大学中野キャンパス
テーマ 「学習者のエンゲージメントを引き出す外国語教育に向けて」
基調講演
「エンゲージメントを促す英語授業」 
講師:廣森 友人(明治大学)
*詳細は、https://www.j-let.org/kanto/をご参照ください。

【問い合わせ先】
LET関東支部事務局
本沢 彩 (kanto-office@j-let.org))

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■ 支部研究部会情報
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□ 関西支部
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■ 早期英語教育研究部会 2024年度 第1回例会
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日 時: 2024年6月15日(土)13:00~17:00
場 所:
1) 大阪市立大学文化交流センター小セミナー室 (大阪駅前第2ビル6階)
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/about/university/access#umeda
2) ZOOM(ZOOM参加のURLはメールにてお知らせ致します)
※初めての方は、下記の問合せ先までご一報ください。

内 容:早期英語教育に関する概論書の輪読および発表

1.文献輪読
Cognitive and Language Development in Children, John Oates and Andrew Grayson (2004)
□ Introduction: Perspectives on cognitive and language development (John Oates and Andrew Grayson)
担当:井狩幸男先生(大阪公立大学)

□ 1章. Early category representations and concepts(Paul. C. Quinn and John Gates)
前半担当:星原光江先生(京都光華小学校、京都ノートルダム女子大学)
後半担当:井狩幸男先生(大阪公立大学)

2. ミニ講義 「役立つ脳教室」
担当:井狩幸男先生 (大阪公立大学)

お問合せ
事務局 竹田里香
eeesiglet@gmail.com

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■ 第13次 基礎理論研究部会第2回研究例会
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■7月例会(第13次 基礎理論研究部会第2回研究例会)(AI Day)
(For information in English, please click on the link below: https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.jp

日 時:2024年7月14日(日)例会:1:30PM~4:30PM
*時間厳守でお願い致します。

内 容:
1. AI-based tools and L2 writing: Patterns of use and attitudes among Japanese university students
by Michael Hofmeyr (Tokyo University of Science)
2. Design & Digitize: Elevating Classroom Materials with AI and Interactive PDFs
by Lucas Dickerson (Kwansei Gakuin University)

会 場:Zoom利用によるオンライン開催の予定です。

下記「参加希望フォーム」にご回答いただいた方に、メールでアクセス方法をお送りいたします。

参加希望フォーム: https://forms.gle/7Juaqpd6KqGmoFbF7

フォームへのご回答は例会開催の前日の5:00PMまでにお願いできますと幸いです。
ご回答いただきました情報に基づいて、Zoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきます。

また、もし上記の締め切りを過ぎてご回答いただいた場合でも、追ってZoomミーティングルームへのリンクをお送りさせていただきますが、すぐに対応ができない場合もございますのでご了承ください。

発表内容詳細などについては次のウェブページをご参照ください。
https://let-kansai-fmt-sig.blogspot.com/2024/06/july-14-2024-meeting-ai-day.html

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■ 電子語学教材開発研究部会 第42回研究会
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日 時:2024年7月27日(土)16:00~18:00
場 所:立命館大学大阪いばらきキャンパス(対面 + オンラインで実施予定)
内 容:「人工音声を用いた教材づくりワークショップ」(仮題)
詳細が決まり次第、Peatixで参加申込を受け付けます。

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■ メソドロジー研究部会 2024年度 第2回研究会
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2024年10/19(土)20(日)に2024年度第2回研究会を広島RCC文化センターにて開催します。ハイブリッドでの開催になりますので,オンライン(Zoom)でもご参加いただけます。詳細は部会ホームページをご確認下さい。

https://mizumot.com/methodology/index.php/meeting

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■ 研究員・研究者・教員公募
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JREC-IN の公募情報を「外国語教育」で検索した結果です。
https://goo.gl/fvDGx6

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■ 編集後記
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AI に助けてもらってお仕事を片づけたら,お仕事が増えてるんですけど,AI は仕事を奪ってくるんじゃないんですか??

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□ LET blog(旧メルマガ)のバックナンバーは、LET blog・アーカイブで閲覧できます。
http://j-let.org/~wordpress/index.php?catid=22&blogid=1
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LET blog 委員会
【関東支部】
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 今尾 康裕(大阪大学)
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【LET blog 編集責任者】
 阪上 辰也 (広島修道大学)

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