No. 31 支部企画:関東支部 (2010年05月10日)
□■===================
★支部企画コーナー No. 31 関東支部
===================□■
==================
「授業の留意点と惹きつける活動―10年間の英語授業を振り返って」
拓殖大学 佐藤 明彦
==================
これまでに10年間、大学で英語授業を行ってきたが、日々反省の繰り返しであった。それでも授業を向上させようといくつか試みてきた。最近、嬉しいことに、授業後の学生同士の会話で「この授業はあっと言う間に終わるね」、「今日も集中したよ」などと言っているのが耳に入ったり、「学生による授業評価」で良い点数が付いていたりする。私の方法が正しいとは言えないが、自分自身への提言として「授業時の留意点と惹きつける授業内活動」について書き留めておきたい。
まず、初回の授業時に、学生に「クラス内ルール」を分からせることが重要だといえる。私は、「携帯電話禁止」、「おしゃべり禁止」、「居眠り禁止」というルールを最初に分からせるようにしている。最近、講義形式の授業を見学した時に、後方列に座る学生達が数人携帯電話を使っていたのを目の当たりにした。特に大教室では、「マナー」が乱れがちになる。私の教えるクラスはおよそ30から50名程度だが、以前は下を向いて携帯電話を使っている学生がみられた。改善策として、紙に「携帯電話使用禁止」と印刷し、貼って説明したところ効果的であった。また、運動部学生の多いクラスを担当した時、しばらく学生の「おしゃべり」に手を焼いた。そこで、「全体責任!おしゃべり1度につき3分間授業時間を増やす」と言ったところ完全におしゃべりがなくなった。最近の学生は「明確な指示」をしないとこちらの意図を理解してくれない傾向があるので、極力具体的に物事を伝えるようにしている。居眠りについては見逃さず、近くまで行き、注意する。時には「30秒以上はしないこと」などと言いながら学生に分からせようとしてきた。私の恩師は「居眠りされるような授業をするな」と言っていた。手を変え品を変え、惹き付ける工夫が必要となる。
では、惹き付ける活動とはどのようなものだろうか。この正答を導くことはとても難しい。大勢の学生が教室にいるので、それぞれの学生の希望や考え方を理解できないと難しいのではないだろうか。ただ、主観的にではあるが「学生が喜んでくれた」場面を思い出しながら、ここに記したいと思う。学生が興味を持つ授業は「聴覚、視覚」に訴える授業だと思う。アジアの数ヶ国が第二言語(ESL)として英語を捉えているのに対し、日本では「外国語としての英語(EFL)」とされ、必要性が薄らいでいるのと同時に、普段の生活において英語は耳にしないことばである。そこで授業中では、なるべく聴かせる、観せる機会を与えたい。最近では音声、映像を活用した英語教材が増えているが、英語と触れ合う機会の少ない学生には、せめて授業中には多く触れさせていきたい。また、身近な教材として英語教師の英語も学生達を刺激する要素を大いに持っている。英語で話したり、質問したり、日本語と英語の発音の違いを例示したりすると学生はとても集中して聞いている。英語を学ぶ雰囲気も大切である。初回の授業では、クラス内の交流を積極的にさせるようにしている。隣、前後の学生は毎回の授業時に顔なじみになるが、遠くの席に座った学生とは知り合う機会が少ない。1年間クラス内の雰囲気を良好に保つためには、効果的な活動だと思う。
学生の評価については「出席率・試験・授業内活動」から判断することにしているが、授業内活動については、積極的に特別加点を学生に与えるようにしている。たとえば、「宿題や教科書のタスクが全問正解だった場合」、「質問に答えられた場合」など、随時加点し、記録している。この活動を始めてから学生の授業内活動への参加度合いが深くなったように感じる。学生は「正しく評価される」ことを望んでおり、そのような活動において自発的な行動をとるように思える。
これまで授業の留意点と惹きつける活動について記してきた。授業内に教員としてできることは限られているが、これからも授業に真剣に臨み、学生を学習に集中させる活動を提供できるよう努力していきたい。しかしながら、週数回の授業だけで学生の英語能力が向上するとはいえない。最も重要なのは、「学生自身のMotivation」と「個人が英語学習に費やす時間」だといえるからである。この状況を改善することは難しいだろうが、試行錯誤しながら考え、可能ならば、次の10年間で何らかの答えを導きたいと思う。
★支部企画コーナー No. 31 関東支部
===================□■
==================
「授業の留意点と惹きつける活動―10年間の英語授業を振り返って」
拓殖大学 佐藤 明彦
==================
これまでに10年間、大学で英語授業を行ってきたが、日々反省の繰り返しであった。それでも授業を向上させようといくつか試みてきた。最近、嬉しいことに、授業後の学生同士の会話で「この授業はあっと言う間に終わるね」、「今日も集中したよ」などと言っているのが耳に入ったり、「学生による授業評価」で良い点数が付いていたりする。私の方法が正しいとは言えないが、自分自身への提言として「授業時の留意点と惹きつける授業内活動」について書き留めておきたい。
まず、初回の授業時に、学生に「クラス内ルール」を分からせることが重要だといえる。私は、「携帯電話禁止」、「おしゃべり禁止」、「居眠り禁止」というルールを最初に分からせるようにしている。最近、講義形式の授業を見学した時に、後方列に座る学生達が数人携帯電話を使っていたのを目の当たりにした。特に大教室では、「マナー」が乱れがちになる。私の教えるクラスはおよそ30から50名程度だが、以前は下を向いて携帯電話を使っている学生がみられた。改善策として、紙に「携帯電話使用禁止」と印刷し、貼って説明したところ効果的であった。また、運動部学生の多いクラスを担当した時、しばらく学生の「おしゃべり」に手を焼いた。そこで、「全体責任!おしゃべり1度につき3分間授業時間を増やす」と言ったところ完全におしゃべりがなくなった。最近の学生は「明確な指示」をしないとこちらの意図を理解してくれない傾向があるので、極力具体的に物事を伝えるようにしている。居眠りについては見逃さず、近くまで行き、注意する。時には「30秒以上はしないこと」などと言いながら学生に分からせようとしてきた。私の恩師は「居眠りされるような授業をするな」と言っていた。手を変え品を変え、惹き付ける工夫が必要となる。
では、惹き付ける活動とはどのようなものだろうか。この正答を導くことはとても難しい。大勢の学生が教室にいるので、それぞれの学生の希望や考え方を理解できないと難しいのではないだろうか。ただ、主観的にではあるが「学生が喜んでくれた」場面を思い出しながら、ここに記したいと思う。学生が興味を持つ授業は「聴覚、視覚」に訴える授業だと思う。アジアの数ヶ国が第二言語(ESL)として英語を捉えているのに対し、日本では「外国語としての英語(EFL)」とされ、必要性が薄らいでいるのと同時に、普段の生活において英語は耳にしないことばである。そこで授業中では、なるべく聴かせる、観せる機会を与えたい。最近では音声、映像を活用した英語教材が増えているが、英語と触れ合う機会の少ない学生には、せめて授業中には多く触れさせていきたい。また、身近な教材として英語教師の英語も学生達を刺激する要素を大いに持っている。英語で話したり、質問したり、日本語と英語の発音の違いを例示したりすると学生はとても集中して聞いている。英語を学ぶ雰囲気も大切である。初回の授業では、クラス内の交流を積極的にさせるようにしている。隣、前後の学生は毎回の授業時に顔なじみになるが、遠くの席に座った学生とは知り合う機会が少ない。1年間クラス内の雰囲気を良好に保つためには、効果的な活動だと思う。
学生の評価については「出席率・試験・授業内活動」から判断することにしているが、授業内活動については、積極的に特別加点を学生に与えるようにしている。たとえば、「宿題や教科書のタスクが全問正解だった場合」、「質問に答えられた場合」など、随時加点し、記録している。この活動を始めてから学生の授業内活動への参加度合いが深くなったように感じる。学生は「正しく評価される」ことを望んでおり、そのような活動において自発的な行動をとるように思える。
これまで授業の留意点と惹きつける活動について記してきた。授業内に教員としてできることは限られているが、これからも授業に真剣に臨み、学生を学習に集中させる活動を提供できるよう努力していきたい。しかしながら、週数回の授業だけで学生の英語能力が向上するとはいえない。最も重要なのは、「学生自身のMotivation」と「個人が英語学習に費やす時間」だといえるからである。この状況を改善することは難しいだろうが、試行錯誤しながら考え、可能ならば、次の10年間で何らかの答えを導きたいと思う。