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No. 20 杉浦 正利(中部支部) (2006年08月10日)

カテゴリー: General
名古屋大学大学院国際開発研究科の杉浦正利です。前回の西納先生が仕組みを知ることの大切さを指摘されました。私も同感です。


実は、「HTMLを使った英語文章構成法」という英語の授業をここ何年も教えています。英語の授業でわざわざHTMLのタグを(必要最小限)教えています。段落は

、箇条書は

    とか。しかし、タグを覚えさせたいわけではありません。試験にも出しません。具体的な「形」としてはタグを教えますが、それを理解してもらうために、ネットワークの仕組み、Webサーバーの仕組み、マークアップ言語の仕組み、そして、文章のスタイルの仕組みを教えます。また、英語と日本語の言語としての仕組みの違いや、コミュニケーションの仕組みも教えます。そういう仕組みの理解があって初めて、HTMLとは何であり、何のためのものか、ということをわかってもらえます。つまり、情報を意識的に構造化することと、その情報をいかに他の人と共有するか、ということです。すなわち、プレゼンとコミュニケーションです。受講生は自分の文章をWeb上に載せ、お互いに読んでレビューしあいます。他の人の英語のエッセーを読むのが面白いといいます。

    もちろん、世の中、もっと「便利な」アウトライン機能つきのワープロソフトもありますが、特定のソフトの特定の機能の使い方を教えたくないのです。それはそのソフトに「しばられる」ことになります。「ソフトの使い方」ではなく「仕組み」を教えたいのです。仕組みがわかれば、あとは自分で自由に工夫して問題解決ができるようになります。

    私自身はというと、最近はCALL教材の開発そのものよりも、その基礎となる外国語学習の仕組み(第二言語習得理論)に関心があります。

    CALL教材の開発を熱心にしていた頃、1997年にウエストポイントで開催されたCALICOで、メディア教育開発センターの山田恒夫先生に初めてお目にかかりました。その後、第二言語習得理論を学ぼうとハワイ大学で客員研究員をしていた2000年に、山田先生がハワイ大学に立ちよってくださいました。「CALL教材開発の基礎となるSLA研究をしないといけないと思いまして」と言うと「いや、『待ってられない』というのが日本の現状ですね」とおっしゃいました。山田先生、いかがでしょうか?

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