外国語教育におけるユニバーサルデザインの現状とニーズ
Universal Design in Foreign Language Education: Current Issues and Needs
このシンポジウムの目的は、日本の英語教育においてユニバーサルデザイン教育を実践するうえでの課題を同定し、それら課題に対応するための取り組みや知恵を共有することである。そのために、雪丸が日本の英語教育におけるユニバーサルデザインに関する共通理解を確認し、課題を整理する。そのうえで、村上と佐藤が、それら課題への実際の教育現場での対応例を紹介する。具体的には、村上はディスレクシアの中学生に対する指導を取り上げ、佐藤はユニバーサルデザインを考慮したテストの在り方を提案する。
このシンポジウムは、これら報告と参加者とのディスカッションを通じて、日本における英語教育のユニバーサルデザインの在り方を参加者全員で共有し、今後の英語教育におけるユニバーサルデザインの実践的なプラットフォームを構築することを企図するものである。
配信方法はオンディマンドとなり、質疑応答を会期中にZoomを用いて行う予定です。
コーディネータ兼パネリスト1
日本の英語教育におけるユニバーサルデザイン:現状と課題
Universal Design in English Language Education in Japan: Current Status and Issues
【略歴】
北九州市立大学外国語学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科単位取得退学。教育学修士(福岡教育大学)、人間・環境学修士(京都大学)。西南学院大学言語教育センター助教などを経て現職。専門分野は外国語(英語)教育。日本人英語学習者の英語学習におけるつまずきに関して、特に読み書き障害(ディスレクシア)の観点から研究を進める。また、英語教育における多読の効果についても研究を行う。主な著作に「University EFL students with dyslexia: What needs to be considered」(DOYLE Shaneとの共著)『JACET九州・沖縄支部紀要』第20号(2015)1-16頁など。
パネリスト2
英語の読み書きに困難のある中学生への指導
Teaching Middle School Students with Reading and Writing Difficulties in English
【略歴】
甲南女子大学准教授、英語教育ユニバーサルデザイン研究学会会長。米ウィスコンシン大学マジソン校図書館情報学修士取得。神戸山手短期大学(2009-2019年)准教授。同校にて読み書きの苦手な児童生徒を対象とした英語教室を開催し、発達障害(主にLD)のある児童生徒への実践的研究を行う。主にディスレクシア研究に基づく日本人の英語読み書き困難要因、特に音韻認識スキルの獲得に関心がある。著書に『読み書きの苦手な子どもたちへの英単語指導ワーク』(明治図書,2018) 『目指せ!英語のユニバーサルデザイン授業』(学研プラス, 2019)など。ほか雑誌連載など多数。
パネリスト3
ユニバーサルデザインの視点を持ったテストの作成
Creating English Tests from the Perspective of Universal Design
【略歴】
麗澤大学大学院言語教育研究科英語教育専攻修士課程修了、津田塾大学大学院英文学研究科博士課程在籍。
学習塾にて講師(中学部英語科)および高校入試の模擬試験やオリジナルテキストなどの教材の作成を担当。その後、カナダにて児童英語教育を学び、帰国後は子ども英会話教室講師として2歳半〜高校3年生を指導。次第に、子どもたちの発達の偏りが気になるようになり、英語教育と発達障害について学び始める。
現在は、担当科目の「第二言語習得理論」や「英語教材作成法」の中で、発達障害のと英語学習の関係や授業のユニバーサルデザインについても扱っている。
佐藤良子・村上加代子(2018)「ユニバーサルデザインの視点による英語テストの作成」『実践障害児教育』2018年11月号(pp.50−52)、村上加代子 編・著(2019)『目指せ!英語授業のユニバーサルデザイン』 のテスト作成に関するページ(pp.78-89)などを執筆。