大会開催支部長 湯舟 英一 (LET関東支部支部長)
第56回LET全国研究大会のご案内
現在、外国語教育を取り巻く環境はICTとグローバル化の流れに乗って大きな過渡期にあります。イーラーニングやMOOCSなどテクノロジーによって可能となった学習形態だけでなく、アクティブラーニング、学習者中心の教育、反転授業など以前から概念が存在していた学習形態もICTによってその価値に新たな光が当てられています。さらに、グローバル人材育成、21世紀型スキルが求められる中、大学入試改革の目玉として英語入試に4技能が導入されることから、「話す」「書く」力をつける授業のあり方とその評価が求められることになります。一方、国内では経済格差や地域格差に伴う教育格差が広がりつつあり、またPISAの調査でも日本のインターネットの教育利用はOECD各国の中でも極端に低い現状の中、ICTによって誰もがアクセス可能な学習環境が求められます。文部科学省が昨年発表したICT CONNECT 21もそんな社会の要請から、ICTを活用した学習環境整備を支援する官民協働の取り組みとして注目されています。学習の中心地は多くの場合「教室」ですが、伝統的にはそこで知識が一方的に伝達されて完結することも普通でした。しかし、これからはICTによって「教室外」の活動や「教室内活動との連携」のあり方が外国語教育の議論で一つの柱になるでしょう。例えば、他の教室、他の学校、図書館ネット、家庭、塾、企業、など教室を取り巻くあらゆる場所が授業に関わることになります。LETとしても、このような国や社会のニーズに学術と実践の両面でサポートすることで、この広範の学習ネットワークで十分な外国語スキルとグローバルな視点を備えた多くの人材が将来世界に向けて発信してくれることを期待します。
このような中、今年の第56回LET全国研究大会では、「外国語授業改革:次世代につなぐ授業の形と役割」という大会テーマを設定し、国際的に著名な2名の外国語教育とICT利用の専門家を基調講演者としてお呼びし、教室内と教室外を含めた新たな外国語教育の現状と可能性について講演を頂きます。さらにパネル・ディスカッションでは国内から著名な研究者・実践者をお呼びし、この日々進化する学習環境における授業の形とそのハブとしての教室の役割について協働学習の観点から議論を深めて行きたいと思います。
それでは、ご同僚もお誘い合わせの上、多くの会員の皆様のご参加を、会場の早稲田大学11号館で、大学マスコットキャラクターの早稲田ベアーと共にお待ちしています。
大会実行委員長 下山 幸成 (LET関東支部副支部長)
LET(旧LLA)の創立が1961年ですから、今年は55周年記念となる全国研究大会です。そのテーマを「外国語授業改革:次世代につなぐ授業の形と役割」としました。昨今、入試改革やアクティブラーニングや学習指導要領改訂など教育界では様々な話題がありますが、あえてこのテーマにしたのは、本学会が授業実践に力を入れてきた学会だからです。実践者の勘や経験だけに頼るのではなく理論にも裏付けられた実践、賛助会員の皆様等が作成する教材やシステムにも支えられた実践、そのバランスの良さが本学会の特徴と言えるでしょう。
本大会が、古き良きものを再認識し、新しき良きものを吸収し、自信を持って日本の外国語教育を次の世代へとつなぐ一助になれば幸いです。実行委員長の私と同様に「ワクワク」しながら大会をお待ちください。